スマホ認知症の増加

 物忘れが増えた、集中力が低下しているなど、スマートフォンの過剰使用で脳が疲労し認知症に似た症状が現れるスマホ認知症で悩む人が増えています。スマホ認知症は、スマホやパソコンなどの過度な使用に伴って、認知機能が低下することを指します。医学的な病名としては正式に認められていませんが、海外ではデジタル認知症として研究対象になっています。

 アルツハイマー病などの一般的な認知症と、スマホ認知症は様々な点で異なります。大きな違いは、スマホ認知症は症状を自覚できる場合が多く進行はしません。主な対処方法は生活習慣の改善が中心となります。特に目立つのが30代を中心とした働き盛りの男女に多く、スマホ認知症と告げると、安心して生活習慣の改善に取り組めます。

 脳には、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という神経回路があります。DMNは車でいうアイドリング状態で、ぼんやりと過ごしている時に働き、情報や記憶を整理する役割があります。しかし、スマホによって絶えず情報を受け取り続けると、脳内で情報を整理できない状態となってしまいます。ぼんやりと過ごすDMNの状態を乱し、結果として脳内で情報が散らかったゴミ屋敷のようになり、結果として脳を疲弊させることになります。

 SNSの利用やショート動画などの利用拡大によって、スマホと接触する時間は増加傾向にあります。物忘れや集中力の低下を自覚した場合は、まずはスマホの接触時間を減らし、脳の健康を取り戻す必要があります。

(2026年6月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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