東京大学の研究チームは、特定の相手を嫌いになる感情の脳内メカニズムをマウスを使った実験で明らかにしました。感情にかかわる扁桃体と記憶にかかわる海馬の神経回路の結びつきが増強されていました。この仕組みを活用し、人為的に神経回路の結合を弱めることで相手を嫌う感情を消去することにも成功しています。
研究チームは、これまで脳の海馬の神経細胞が特定の相手の情報を記憶するメカニズムを突き止めていました。今回、遺伝子操作技術などを使って脳神経回路を調べたところ、海馬と扁桃体に加え、脳の中心付近にある側坐核からなる神経回路が相手を嫌いになる感情の変化に関係していました。
感情の変化と神経回路の結合の様子を詳しく調べると、海馬と扁桃体が感情の変化に関わっており、扁桃体から側坐核を結ぶ神経回路が特定個体からの回避行動に関与していました。神経回路の結合を弱めると、攻撃されたマウスは相手に近づいてコミュニケーションを取るようになりました。

(2026年7月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





