精神疾患の訪問看護の増加

 精神疾患の治療にかかる医療費を公費で助成する制度で、訪問看護の利用が急増しています。2025年度の利用件数は、2015年度の5.6倍に増えています。うつ病を含む気分障害やストレス関連障害、統合失調症などの精神疾患は医療費の自己負担額を軽減する自立支援医療という仕組みがあります。継続的な通院が必要な場合は自己負担が1割となります。

 この制度を月に1回以上使った患者数に相当するレセプト件数の各月の総計は、2024年度に10年前の1.5倍の4434万件となっています。公費負担額は1.3倍の2832億円に増えています。訪問看護の伸びが主因で、2025年度までの10年で5.6倍の176万件に急増しています。公費負担は6.7倍の981億円と、レセプト件数で8倍以上の医科の額に迫る勢いです。

 訪問看護は、医師の指示を受けた看護師らが利用者の自宅を訪問し、体調確認や点滴・注射などの処置、服薬管理などにあたります。精神科では、生活リズムを整えるための助言をしたり、家族の相談に応じたりします。最近は有料老人ホームなどの高齢者住宅と訪問看護を組み合わせて提供する事業者が増えています。住宅費用を抑えて入居者を集め、訪問看護で高い収益を得るモデルです。

 医師の協力を得て、入居者の状態にかかわらず制度の上限である週3回の訪問看護で収益を上げている事業者が出てきています。疑義や違和感のある申請が増えており、主治医の診断書に訪問看護やデイケアの指示が無いにもかかわらず、利用を申請しているケースも見かけられます。過剰提供の可能性もあり、厚生労働省は実態の把握に乗り出します。

(2026年7月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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