のれんは買収金額のうち買収先の純資産を超える部分を指し、買収先のブランド力やノウハウなどの見えない資産価値を含んでおり、買収競争が激しくなるほど大きくなります。のれんの償却とは、M&A(合併・買収)の買い手が買収に伴って発生する資産であるのれんを複数年にわたり規則的に費用として計上することです。
日本の会計基準では、のれんを20年以内に償却することを求めています。買収時にあった見えない価値が、他社との競争などを背景に徐々に減っていくとみなすためです。このほか買収先の収益力が低下した場合には、減損損失を計上しのれんの価値を妥当な水準まで引き下げます。国際会計基準などでは、のれんを償却せず減損だけで会計処理します。平時の利益は日本基準よりよく見えやすい半面、一度に巨額の損失が出る場合があります。
米国、欧州、日本の主要企業の財務諸表を分析すると、米国と欧州は株主資本に対するのれんの規模が20~30%あるのに対し、日本は1%です。米国では100%を超える企業が16%あります。日本の会計基準づくりを担う財務会計基準機構は、企業ののれんの償却について定期的に実施する現行基準を維持する方針を固めました。これにより、突発的に多額の減損損失を計上するリスクを軽減できるとしています。
(2026年7月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







