低用量ピルを服用して、副作用で血栓症になる頻度は高くはありませんが、リスクを念頭に置いておくことは医師にとっても患者にとっても重要です。日本産科婦人科学会は、低用量ピルのガイドラインに基づき、処方時の十分な問診や服用者への定期的な診察、血栓症の兆候が見つかった場合にはすぐ中止することなどを求めています。ガイドラインでは、リスクを高める要因として、加齢、肥満、喫煙などが挙げられており、1日15本以上のたばこを吸う35歳以上の人は服用してはいけません。血栓症の既往がある人や、乳がんなどホルモン治療を受けている人にも処方しないとされています。低用量ピルとLEP製剤を扱う全製薬会社が、血栓症の兆候や注意点をまとめた患者携帯カードを作成しています。薬を飲む女性が薬局や病院でもらえるようになっています。
主な兆候には、激しい腹痛や胸痛、頭痛、ふくらはぎの痛み、むくみ、視野の狭まり、舌のもつれがあります。飲み始めから3か月以内が最も血栓症が起きやすいとされており、中断後に再会した時も同様に注意しなければなりません。オフィスや社内などで長時間座っていることもリスクになります。こまめに足を動かし、水分をとることが必要です。血栓症になっても、早く治療をすれば重症化を防げます。薬を飲んでいることを知らないと、医師は兆候を見逃しやすいので、まず処方した医師に相談してください。別の医師に診てもらう場合は、飲んでいることを必ず伝えてほしいと思います。
(2014年12月18日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)