ヒト脳オルガノイドの作製

 米スタンフォードの研究チームは、ヒトのiPS細胞からつくった未熟な脳組織であるヒト脳オルガノイドを、大脳皮質の大部分を欠損させたマウスに移植したところ、脳組織が成長し、マウスの神経回路とつながることが確認しています。脳や神経が発達する仕組みや、脳疾患の研究に役立つと期待されています。オルガノイドは、ヒトの細胞をもとにしたiPS細胞などからつくる細胞の塊のミニ臓器です。人体では直接研究が難しい臓器の形成過程や働きを調べることができるため、病気の仕組みの解明や治療法の開発に活用されています。

 iPS細胞からつくったヒトの大脳皮質のオルガノイドを大脳皮質を大部分無くした生後数日のマウスに移植しました。3カ月後には、ヒト脳オルガノイドが大脳皮質の容積の9割を占めるまで成長し、ヒト由来の神経がマウスの脳や脊髄の神経回路とつながっていました。大脳皮質がないマウスに比べて、ヒト脳オルガノイドを移植したマウスは、一時的に情報を記憶し行動する能力が改善し、通常のマウスと同程度でした。

 低酸素状態では、通常のマウスや大脳皮質が無いマウスには影響が見られませんでしたが、ヒト脳オルガノイドを移植したマウスには運動障害が見られました。発達期のヒトの脳は低酸素状態に弱いとされ、出産時に赤ちゃんが低酸素状態になることで、脳性麻痺になることがあります。神経発達障害や妊娠中に生じる脳障害が、どのような仕組みで起きるのかの解明に役立つことが期待されます。

(2026年9月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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