取締役会の実効性

 取締役会のトップに社外人材を据える日本企業が増えています。社外取締役が取締役会議長を務める企業は、2026年に前年比9%増の139社となり、過去最多となっています。取締役会の本来の役割である経営の監督機能を高める狙いがあります。

 取締役会議長は、取締役会の実効性を左右する立場です。議論をリードするだけでなく、議題の設定や時間配分、各取締役から意見を引き出す議事運営などを担います。設置を義務付ける定めはないものの、大半の企業が議長を置いています。社長や会長が議長を務める日本企業は多いのですが、監督される立場の経営トップが取締役会を仕切ることへの批判は根強くなってきています。ガバナンス改革の進展を受け、投資家からは独立性の高い社外取を起用するよう求める声が強まっています。

 海外では日本に先行して経営トップと取締役会議長を分離する動きが進んでいます。英国のコーポレートガバナンス・コードは、議長に独立社外取締が就くことを求め、CEOとの兼任を原則として認めていません。日本と同様にCEOが議長を兼ねるのが主流だった米国でも分離は進んでいます。

 日本で社外議長を機能させるうえでは課題もあります。社外取は経営トップに比べ社内情報へのアクセスが限られます。議長になれば、議題設定や事前調整など業務負担も増しますが、報酬が見合わないとの声もあります。経営の執行と監督の線引きが曖昧だとけん制機能が働きにくく、投資家からもガバナンス不全などを指摘されやすく、市場信認を得るには取締役会の透明性を高める取り組みが必要です。

(2026年9月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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