自然流産は、12~15パーセントの頻度で生じる決してまれな現象ではありません。流産の原因の60~70%は、染色体異常によるものであり、ある意味での自然淘汰です。妊娠年齢が高齢になるにつれ、また過去の流産回数が多くなるにつれて流産率は高くなります。2回以上の流産(妊娠22週まで)、もしくは死産(妊娠22週以降)を繰り返す場合、不育症と定義され、なんらかの要因がある可能性が考えられますので産婦人科への受診をおすすめします。
2回続けて流産することを反復流産、3回続けると習慣流産と呼びます。流産を繰り返す場合には、さまざまな異常がみつかることがあります。その原因としては、子宮奇形、抗リン脂質抗体症候群、カップルの染色体異常、甲状腺機能低下や糖尿病などの内分泌異常などが挙げられます。リスク因子が判明すれば、それぞれの原因に対する治療を行います。日本には、2~3万人の不育症患者がいると推定されています。しかし、検査をしても約65%の人には何の異常も見つかりません。これらの人には特段の治療は必要ありません。無治療でも次回妊娠時には良好な結果が得られています。
全国には、不育症相談窓口が開設されています。お近くの市区町村にお尋ねください。また、こちらもぜひ参考にしていただければと思います。
反復・習慣流産の相談対応マニュアル
http://www.jaog.or.jp/all/document/fuiku_2012.pdf
(吉村 やすのり)