2024年の世界平均気温は、産業革命前と比べて1.55度上昇し、観測史上最高を更新しました。長期傾向を分析しているため、単年で超えても目標が破られたことにはなりません。世界気象機関は、2026年から5年間で世界の平均気温の上昇幅が1.5度を上回る確率を75%としています。いったん1.5度を超えた後に、気温上昇のピークを抑え、その後1.5度に戻して安定化させることをオーバーシュートと言います。

国連環境計画によれば、現在の気温上昇は約1.4度ですが、このままでは今世紀末までに2.6度、各国の温室効果ガスの削減目標や排出量のネットゼロの目標を実行しても1.8度前後になるとしています。世界は1.5度超過を前提にどれだけ超えるか、何年間超え続けるかを考える段階に入っています。
地球温暖化は、生態系や社会システムに突然後戻りできない変化をもたらし、気候の転換点であるティッピングポイントに達します。西南極やグリーンランドの氷床の崩壊、アマゾン熱帯雨林の破壊、海洋の流れである大西洋南北熱塩循環の弱体化の連鎖が指摘されています。多くの国や地域社会は、取り返しのつかない損失や恒久的な変化を抱え続けることになります。

(2026年9月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





