ナルコレプシーは、日中に強い眠気に襲われたり、突然眠ってしまったりする睡眠障害の一つです。患者は欧米では約2千人に1人、国内では約600人に1人、発症のピークは10~20代です。学業や仕事など日常生活に大きな支障がありますが、怠けているなどと誤解されることがあります。
ナルコレプシーには、1型と2型があります。1型は目が覚めている状態(覚醒状態)を保つ働きがある脳内の神経伝達物質であるオレキシンが欠乏することで起きます。このオレキシンの働きを補う1型向けの新しいタイプの治療薬が、今夏に国内外で承認されています。
健康な人の脳内でつくられたオレキシンは、受容体と呼ばれる鍵穴に結合します。この結合によって覚醒状態を保つしくみが働きます。患者の脳内では、オレキシンがほとんどつくられないため、新薬はオレキシンの代わりに鍵の役割を果たし、受容体にくっつくことで日中の過度な眠気や、意識を保ったまま体の力が抜ける情動脱力発作を大幅に抑えます。
新薬のオベポレクストンは、筑波大学の柳沢正史教授らが1998~1999年にかけてオレキシンを発見してその働きを突き止めた研究成果などがもとになっています。こうした功績が評価され、柳沢さんらに今年の米ラスカー賞が贈られています。

(2026年9月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





