都市部を中心に美容医療の求人はコロナ禍以前の6倍超に急増し、厚待遇もあって若手や地方の人材の転職が相次いでいます。診療科や地域による医師の偏りが加速しかねず、規制を求める声も上がっています。厚生労働省の調査によれば、美容外科を掲げる診療所は2023年に2,016施設と、2020年の前回調査時から44%増加しています。
美容医療の人材は引く手あまたです。求人ビッグデータのフロッグによれば、医師や看護師のほか事務職を含め、2026年時点で2,627件と2019年4月の421件から6.2倍に増えています。給与も高く、医師の正規雇用だと平均月給は141万1523円で、美容医療以外の98万7736円と40万円以上の差があります。
美容医療機関は、都市部に集中しています。人口10万人あたりの美容外科医数は、東京都が3.5人と全国平均の1.0人を大幅に上回っています。地方の他の診療科の勤務医が好条件にひかれて転職するケースが増えれば、医師不足に拍車がかかります。医学部卒業後2年間の臨床研修を終え、そのまま美容クリニックに就職する直美(ちょくび)も広がっています。厚生労働省は、4月に保険医療機関に3年間務めることを病院や診療所の管理者の要件に加えています。
美容医療の側も量の拡大に質が伴っていません。美容医療サービスに関する相談は、2024年度に1万744件と5年前の5.3倍に増えています。モラルの低い医師やクリニックが増え、対策が追いついていない状況です。保険外の自由診療が大半でばらつきも大きくなっています。患者の選択に基づく美容医療自体を否定するのではなく、医療全体への影響を踏まえ、適切な法規制を検討する時期に来ています。

(2026年10月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







