働き手の仕事に対する意識は世代や性別で多様化しています。年齢に応じて給料を払う年功序列型と、働きに応じて支払う成果型の賃金制度に大別されます。働く男女にどちらの制度が良いか尋ねたところ、全体でほぼ半々でしたが、男性は年齢が高くなるほど年功型を好み、女性は成果型を支持する傾向があります。年功を支持する男性は20代が52.9%、50代は63.5%であり、大企業の中高年男性は1つの会社で勤め上げる人が多くなります。一方、女性は転職経験がある人が58.8%と、男性の40.7%より高く、短期間の実績が給与に繋がる成果型が多くなっています。女性は夫の転勤や出産を機に離職や転職を迫られやすく、男性に比べ社会への帰属意識が低く、生活環境の変化などに合わせて転職する人が少なくありません。
海外勤務希望については、働く人の78.2%が海外で仕事をしたいとは思わないと答え、内向き志向が強くなっています。主な理由は、語学力に自信がないが65.7%と最も多く、治安が悪いが45.8%、国内でもやり甲斐のある仕事ができる40.8%が挙げられます。大手企業を中心に海外で働くグローバル人材の需要が高まっている一方、働く側の多くは国内を出たがらないことは残念です。私たちの若い頃は、ほとんどの者が海外留学を希望していました。同級生の半数は何等かの海外留学の経験があります。最近は海外留学を希望する若手医師も減っているように思います。日本でも成果が上げられる条件は整ってきていますが、若い頃に2-3年海外で生活するのも長い人生にとっては有意義なことと思われます。
(吉村 やすのり)