日本の医学研究にとって大きな役割が期待される組織である、日本医療研究開発機構(AMED)が、2015年に立ち上がります。米国の国立衛生研究所(NIH)がモデルで、日本発の創薬を進めるのが狙いです。2006年に産声をあげた国家プロジェクトが本格的に動き出すことになります。AMEDの最大の特徴は、縦割り型の行政組織の垣根を越えた研究支援です。基礎研究を所管する文部科学省と、臨床研究を管轄する厚生労働省、事業を管轄する経済産業省の3省が持つ医学研究の関連予算を、AMEDが一元管理することになります。
基礎研究の学者から研究成果の随時報告を受け、現場をチェックして企業とつなぐ役割を担うことになります。発足当時は300人体制ですが、数年で800人を超えるスタッフを抱える巨大な組織になるようです。米NIHの予算年間3兆円に対し、AMEDは1400億円に過ぎませんが、年間40件程度の有力な研究への支援と、年間1件の企業への開発権の売却を目指しています。慶應義塾大学医学部の末松医学部長が、初代理事長に就任されたことは大変慶しいことです。
(吉村 やすのり)