文部省と厚労省より今春卒業予定の大学生の昨年12月1日時点の就職内定率が公表されました。女子は前年同期比4.7ポイント増の81.9%となり、去年の12月時点としては、調査を開始した1996年以降最高となっています。また男子を含めた全体でも80.3%であり、4年連続の改善となり、リーマンショックの影響前の2008年の水準に迫っています。景気の回復を受け、金融機関を中心に女子学生の採用意欲が高まっていることによると考えられています。大学院などに進学せず、就職を希望する学生の割合を示す就職希望率も増えています。
4年制の大学生の就職希望率は2008年のリーマンショック直後、就職率が低迷し、大学院などへの進学を目指す学生が増えました。そのために就職率が落ち込みましたが、近年の就職環境の改善を受けて再び上昇してきています。大学院などへの進学率は、最近10年間では2010年3月卒の13.4%をピークに年々低下しており、2014年3月卒は11.1%になっています。博士号を取得しても安定した職に就けない「ポスドク」が問題化していることも大学院離れにつながっているとみられています。
※「ポスドク」とは、ポストドクターの略。博士課程を終了し、常勤研究職になる前の研究者で、全国におよそ1万人以上がいるといわれている。若手の研究者の多くは大学などの「ポスドク」(非常勤職員)として雇用され、我が国の研究活動を支えている。
(2015年1月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)