孫にお金を贈与する動きが、祖父母世代で急速に広がっています。4月から教育資金や住宅の購入を対象とする贈与税の優遇制度が延長・拡張されるほか、孫の結婚や出産・育児資金目的でも優遇税制が設けられることになります。祖父母や父母が子や孫らに生活費や教育費を援助するのは、家計ではよくあることですが、当面必要ない分までお金を一度に渡せば贈与となり、課税対象になります。
新制度では、子どもや孫らの結婚式場や披露宴の費用、新居の住居費、新生児の保育料などに充てる資金をまとめて贈与する場合、子や孫1人につき1000万円までなら非課税になります。金融機関に専用口座を開き、それを通じて贈与するなどの手続きを踏む必要はありますが、子や孫世代を助けたい父母、祖父母にとっては、魅力的な制度になっています。ただし、多額で公平さを欠く贈与は、家族同士のトラブルになったり、もらう側の放漫につながったり、副作用も懸念されています。
(2015年1月21日 日本経済新聞夕刊)
(吉村 やすのり)