生殖医療の父“エドワーズ”死去

世界初の体外精児を誕生させ、ノーベル医学生理学賞を受賞したロバート・エドワーズ英ケンブリッジ大学名誉教授が10日、死亡したとの報道があった。
87歳だったそうである。エドワーズ氏は、産婦人科医の故パトリック・ステプトー氏とともに、女性の卵巣から卵子を取り出し、精子を加えてできた受精卵を子宮に戻す体外受精の技術を確立した。1987年ルイーズ・ブラウンさんを誕生させた。

地道な生物学の成果と不妊治療が合従して登場したこの体外受精・胚移植技術は宿志を実現した観があり、革新的な不妊治療の治療法として導入され、瞬く間に全世界に普及していった。これまでに全世界で500万人以上、わが国でも30万人以上の子どもがこの生殖補助医療によって誕生している。エドワーズ博士はこの体外受精・胚移植技術を開発し、生殖医療にブレークスルーを起こした業績により、2010年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。病気で長く療養されており、博士は受賞式典には出席できず、もう少し早い受賞が望まれた。

この先端医療はそれまでまったく妊娠を望めなかった夫婦でも子どもが持てることを可能にしたが、一方では技術の進歩に伴い、新たな医学的、社会的、倫理的、法律的な問題を提起するようになった。さらには生命の起源に対する考え方、家族観や社会観を大きく変える医療としてとらえられるようになってきている。

(吉村やすのり)

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