産婦人科の医師不足―Ⅱ

新たに産婦人科医として医療に携わる医師は、日本産婦人科学会に登録していることになる。つまり、このグラフで毎年、新規にどのくらい産婦人科医が増えているかがわかる。産婦人科医が減り続けるなかで、学会としてはなんとかしなくてはならないと、それなりの努力を続け、300~400人の新たな産婦人科医が誕生していた。しかし、毎年、最低でも500人が新規に産婦人科医にならないと、現在の産婦人科医療を支えていくことはできない。

全体の医師数は増えているのに、産婦人科医は減り続けている。その原因は、新たに産婦人科医になる医師の絶対数の少なさだった。日本産婦人科学会会員数の推移をみると2004年には138人、2005年が184人という悲惨な数字である。しかし、2004~2005年を底に2006年から新入会員数は右肩上がりに増えている。2006年と2007年はまだ300人台だが、2010年にはわが国の周産期医療を維持するのに最低限必要な500人を超えるようになった。この変化は、学会、大学医学部産婦人科が一丸となった努力の賜といえる。

次のような大きな3つの柱をつくった。

1 サマースクール、スプリングフォーラムの実施

2 医師育成のための奨学基金制度の充実

3 ニュースレターの発行

サマースクールにおいては、医学部学生や初期臨床研修医を対象に産婦人科実習のプログラムを提供した。それに加えて、若手産婦人科医のモチベーションの継続を目的として、卒業後7年目の医師を対象にスプリングフォーラムを開催した。また、学生や初期臨床研修医に奨学金制度を設けたり、研修医に産婦人科学を理解してもらうためにニュースレターを発刊したりした。

この3つの柱を中心に医学部生や初期臨床研修医を獲得することで、一時的かつ危機的な人材不足はなんとか乗り切ることができた。

(吉村やすのり)

 

 

 

 

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