2012年の合計特殊出生率※は、1.41で、前年を0.02ポイント上回った。
出生率は長く減少していたが、2005年に過去最低の1.26まで落ち込んだ。2009年より出産育児一時金の引き上げ、妊婦健診の公費助成より、妊娠・分娩の経済的不安の軽減により、出生率に上昇傾向がみられるようになった。しかしながら、2012年に生まれた子どもは、103万7101人と前年より1万3705人減り、過去最低であった。初婚の平均年齢は、夫が30.8歳、妻は29.2歳で、女性が第一子を産んだ平均時の平均年齢は30.3歳で、いずれも過去最高を更新し、晩婚化・晩産化の傾向は強まっている。人口の自然減は21万915人となり。2007年以降、減少ペースは加速しており、少子高齢化に全く歯止めはかかっていない。
少子高齢化により人口構成の変化は、社会にさまざまなひずみをもたらすことになる。
近年の政権は、子育て支援をするために待機児童の解消や、子育てと仕事の両立のための働き方改革を積極的に進めようとしている。今後は若い世代の雇用を安定させ、結婚して子どもを産み育てやすい環境を整えることが大切となる。社会が、国が子どもを育ててゆくという考え方に転換しないと出生率の改善は望めない。人口の増加を前提にしていた従来の社会保障の仕組みをどのように変えてゆくかが今後の大きな課題である。
※合計特殊出生率とは、一人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値。その年の15-49歳の女性が産んだ子どもの数をもとに算出する。出生率が約2.0 以上でないと総人口を維持できないとされる。
《読売新聞 2013年6月6日》
(吉村 やすのり)