AI分野での日本の存在感はあまりありません。米スタンフォード大学の調査によれば、AIの国力ランキングで日本は9位にとどまっています。他の研究機関や調査会社の指標でも、日本は10位台前半です。民間の投資が低調で、先端モデルの開発で出遅れていることが主な要因です。研究開発力も米国の企業や大学が強く、中国勢が追う展開です。日本は米中から大きく離され、他の欧米諸国や韓国などと比べても後れをとっています。
日本の勝機の一つは専門への特化です。医療や法律、金融など分野を絞り、日本語の高品質なデータをそろえれば、高い性能を引き出せます。企業が保有するデータや情報を活用できるという利点もあります。しかし、市場が国内に限られてしまう恐れがあります。
もう一つの活路が小型軽量化です。汎用型はモデルが大きくなるほど高性能になりますが、動かすには巨大なデータセンターやスーパーコンピューターが必要になります。小型化すればインターネットにつながずとも、高性能パソコンで動かせます。例えば自動運転ではスピードが必要なため、1つのAI半導体上で処理できた方が有利です。
(2025年11月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







