ヒトの体内の細胞には、たんぱく質やDNAなど多様な分子が存在します。これらの分子は、互いに影響を及ぼしながら複雑に結びつき、生命活動を支えています。その構造や機能を知ることは、病気の原因究明や治療薬の開発において重要な意味を持っています。グーグルは、こうした生体内の分子の構造や相互作用を高精度に予測するAIであるアルファフォールド3を開発しました。
ヒトの体内では無数のたんぱく質が働いていますが、正常に機能しないと病気の原因になることがあります。がんなどの治療に使われる医薬品の多くは、病気に関わる特定のたんぱく質に作用することで効果を発揮します。この技術を使えば、生体内のたんぱく質に加え、DNAやRNA(リボ核酸)など遺伝情報を載せた物質も解析できます。がんをはじめとする病気の解明や、新薬の開発を加速させる可能性があります。
アルファフォールド3の開発にあたって、最先端の生成AIの技術を取り入れ、DNAなどを含めて分子が複雑に組み合わさる立体構造を予測できるようになり、病気のメカニズムや薬の作用をより詳しく調べられるとしています。
(2024年5月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)