患者の免疫細胞を使うがん治療法であるCAR-T細胞療法が広がっています。CAR-Tは患者から取り出した免疫細胞を改変し、体内に戻してがんを治療する方法です。白血球の一種であるT細胞に、がんを見つける遺伝子を導入し攻撃力を高めます。

日本では、2019年にスイスのノバルティスのキムリアが初めて承認されました。臨床試験では、白血病では8割の患者で、悪性リンパ腫では5割の患者で効果があり、既存の抗がん剤では治療困難だった患者にも、一回の投与で効果が期待できるとして注目されました。

CAR-Tは、患者の細胞採取から米国などの施設への輸送、製造、投与までおよそ1~2カ月かかるため、発売当初は対応できる医療機関が限られていました。しかし、複数の製品が発売されるにつれて対応する医療機関が増え、治療は普及してきています。

CAR-Tの薬価は1回3,000万円超と高額です。高額療養費制度があるため患者の自己負担は抑えられますが、病院の採算性の悪さが指摘されています。また、免疫が異常に活性化するサイトカイン放出症候群などの合併症が起こることがあります。CAR-Tは主に大規模な公的病院が対応しています。収益環境が改善されれば、民間が参入し対応施設が増えると思われます。
(2026年2月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





