京都大発ベンチャーであるアイハート・ジャパンが開発したiPS細胞から作った心臓組織のシートを、東京女子医大のチームが重い心不全の患者に移植しました。
iPS細胞から心臓の筋肉の細胞や血管の細胞を作り、シートを作製し、シートの間にゼラチンをはさみ、5層に加工したシートを患者の心臓に移植しました。シートから分泌される物質によって心臓機能の回復を図ります。
心臓のポンプ機能が落ちて心臓が大きくなる拡張型心筋症の18~79歳の患者が対象です。この病気の患者は国内に約2万人いるとされ、子どもから高齢者まで幅広い年齢層で発症します。薬を使って心不全を予防しますが、症状が進行すると、補助人工心臓や心臓移植が必要となります。
iPS細胞からつくった心臓の細胞を重い心臓病の患者に移植する治験は、クオリプスと慶應義塾大学発のベンチャーであるハートシードも進めています。

(2025年7月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)