東京医科歯科大の研究チームが、遺伝物質メッセンジャーRNA(mRNA)を高齢者に多い膝の関節痛の患者に投与する治験を開始します。対象の病気は、変形性膝関節症で、国内の患者は推計2,000万人以上とされています。チームは2030年代の承認と普及を目指しています。
変形性膝関節症は、膝の軟骨が加齢などで少しずつすり減り、関節が変形する病気です。高齢者の健康寿命を縮める一因となっており、進行が速いと人工関節を入れる手術などが必要になります。
膝軟骨の細胞の働きを高めるたんぱく質の遺伝情報でできたmRNAを人工的に作り、膝に注入します。膝の細胞がたんぱく質を作り、軟骨を構成するコラーゲンを増やすなどして、軟骨が壊れるのを防ぐとされています。動物実験では軟骨の摩耗や関節の変形を抑えることに成功しています。mRNAを直径1万分の1ミリ以下の膜に包んだ粒子状の医薬品とし、膝の細胞に届きやすくしています。
(2024年8月22日 読売新聞)
(吉村 やすのり)