本日(1/24)生放送のNHKあさイチでは、以下のような内容をお話しいたしました。
ご意見がありましたら何なりとお寄せください。
お待ちしております。
《吉村泰典》
Q;そもそも卵子の提供は日本では認められているのでしょうか?
A;日本では現在、卵子提供に関する学会や国のガイドラインはありません。現状では生殖医療を行うクリニックの団体(JISART)で、姉妹や友人からの卵子の提供によって厳しい基準の下に限定的に実施されています。これまで20数例の子どもがこの医療技術によって誕生しています。
Q;卵子のドナーを広くボランティアで募った場合、どのような課題があるのでしょうか?
A;大きく3つの課題があると思います。1つ目は、ドナーの採卵時にみられる出血などの身体的リスクが発生する可能性があること。また、排卵誘発剤を使用するため、卵巣が過剰刺激の状態となることがあります。このようなリスクに対しては、医療的な対処が必要となり入院しなければならない場合もあります。その補償をどのようにするのか現在のところ明確ではありません。もうひとつは、生まれた子どもが遺伝的な親を知る「出自を知る権利」に関する問題です。この場合には、親が子どもに対して真実を告げる、いわゆる告知が必要となります。3つ目は、卵子提供等第三者を介する生殖補助医療を実施するためには、法的な親子関係を決めておく必要があることです。
Q;無償で卵子を提供してくれる方はお見えになると思いますか?
A;身体的リスクがあり、かつ仕事を休むなどの社会的制約がある中で、無償で卵子を提供してくれるボランティアを捜すことは極めて難しいと思われます。海外のように、有償ボランティアを認めることになれば、卵子の売買と言った倫理的な問題が発生します。
Q;今回は、レシピエントとしてターナー症候群などの症例が考えられていますが、妊娠した場合に問題ないのでしょうか?
A;ターナー症候群の方が妊娠した場合、様々な妊娠合併症が発生すると考えられています。厳重な周産期管理が必要になってくると思われます。
Q;今後、どのようなことが必要になってくるでしょうか?
A;日本国民として、卵子提供を含めた第三者を介する生殖補助医療について、どのように考えるのか、是とするのか否とするのか。是とするならば、どのような方法で実施するのか考える必要があります。立法府における審議が必要になると思います。