スマホによる内斜視の増加

 京都大学の研究グループの調査によれば、全国規模で増加傾向がみられ、スマホの世帯普及率と強い相関があることが確認できたとしています。しかし、増加は限定的で、過剰な近見作業がもともと内斜視になりやすい体質の人の発症を誘発している可能性があるとしています。国内における内斜視の年間発生率は、2014年は10万人あたり32.26件でしたが、2019年に36.61件となり、平均増加率が年2.49%と徐々に増加しています。内斜視の手術件数も3,061件から3,743件へと増えています。

 10年ほど前から、急に目が内側に寄って物が二重に見えるタイプの内斜視(急性後天共同性内斜視)が、若者を中心に増えていると指摘されています。特にスマホの過剰使用との関連を疑う症例報告が相次いでいます。スマホを控えることで内斜視が軽減されたという報告もあります。スマホを使うのを過剰に心配する必要はありませんが、二重に見えるという症状が出た場合は、一時的にスマホの利用をやめて早めに休むことが大切です。

 上段は健康な人、下段は内斜視になりやすい人です。左は遠方を見ている時、中央はスマホを見ている時、右はスマホを長時間使った後に遠方を見ている時です。健康な人は、スマホを見ている時には内直筋が緊張しています。視線を戻せばバランスが回復します。

 内斜視になりやすい人は、遠方を見ている時に真っ直ぐな視線を保つために、外直筋が収縮して緊張しています。この状態が日常的に続けば、筋トレのように外直筋の緊張が効果的に維持されます。しかし、スマホを見ている時には外直筋をさほど収縮させる必要がなくなるため、長時間過剰に使うと、外直筋の筋トレ効果が低くなります。この外直筋の緊張が低下することによって、結果として遠方を見ている時に内斜視が現れます。

(2026年9月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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