東京の水道水を安全に滞りなく給水するため、東京都が水道業務にAIを組み入れています。熟練職員の経験に頼る水質保全のための薬品投入や水需給予測にAIを活用しています。水道局の技術職員不足が今後見込まれ、限られた人数で水道を維持するために、AIやドローンを活用したスマート水道で先手を打っています。
スマート水道を進める重点分野の一つが水質保全です。大雨や台風が発生すると川の急激な増水により川底の泥が巻き上げられ、水道水の元となる川の水質が悪化します。濁った水をきれいにするため、浄水場でパックと呼ばれる凝集剤を使っています。この凝集剤の量の判断をAIに支援させます。送配水にもAIを取り入れます。需給の予測判断でもAIに業務支援させます。
都がAI活用に乗り出した背景には、将来の水道局職員の減少があります。職員の年齢別構成でみると、業務の中核を担う50歳以上の職員が4割を超えています。40代職員は2割未満にとどまり、ベテランの経験に頼った体制を続けると、いずれは立ち行かなくなります。人がもう確実に減っていく中で、水道の安定給水を維持していくにはDXを進めていくしかありません。

(2026年9月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





