医療現場の人手不足を支援するロボット技術が広がっています。病院でロボットが注目される背景には、医療産業の人手不足があります。リクルートワークス研究所によれば、国内の保健医療分野の専門人材は2040年に81万人不足する可能性があります。人材供給は現在とほぼ横ばいの386万人の見通しですが、高齢化などで需要が2割増の467万人に拡大するとみられるためです。

手術ロボットでは、米企業が開発した執刀医の作業を再現するダビンチなどが先行していますが、補助役に徹する独自のコンセプトで業務改善も売りにするロボットも開発されています。調剤現場を支援するための抗がん薬混合調整ロボットも開発されています。

ロボット普及への課題はコストです。厚生労働省の調査によれば、国内の一般病院の2024年度の経常損益率は平均で3.9%の赤字でした。欧米に比べ民間病院の財務基盤が弱く、医療機器に比べて周辺業務への投資が遅れています。搬送などの一見地味な改善が重要だと指摘しています。政府はAIロボットを成長戦略の柱としています。AIロボティクス戦略では、医療を重点分野に盛り込んでいます。医療にロボットの強みを持ち込めば、人手不足という社会課題を解決し、産業の育成につながる可能性もあります。
(2026年9月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







