女性活躍推進法の改正

 今春施行された改正女性活躍推進法では、女性の健康上の特性に配慮することが基本原則に盛り込まれ、国も対応を強化しています。生理休暇も変わりつつあります。名称を変えて心理的なハードルを下げたり、更年期症状や不妊治療にも広げたりした企業では、取得者が増えるなど効果的に活用されるようになっています。適切に休みながら、仕事のパフォーマンスを維持・発揮しようとする意識がこれまでよりも高まっています。

 生理休暇の始まりは、1947年に労働基準法で制定されました。戦後、工場など過酷な労働環境で働く女性を保護する目的で創設されました。証明書の提出は原則不要で、半日や時間単位での取得も可能です。日数に上限を設けることも許されません。有給とするか無給とするかは各社の判断に任されています。しかし、生理休暇の利用率は減っています。厚生労働省によれば、生理休暇を請求した女性の割合は、1960年代に25%を超えましたが、痛み止めなどの普及もあり近年は低下し、2020年度は0.9%にとどまっています。

 企業の取り組みは多様化しています。生理休暇の名称をコアラ休暇に変え、申請時の心理的負担を減らしたり、生理休暇の対象をPMSや更年期、不妊治療にも広げ、有給で休めるようにする企業も増えてきています。

 生理休暇が変わってきた背景には、労働力不足が深刻化する中、女性の健康課題への対応が企業や社会にとっても重要だという意識の高まりがあります。経済産業省の試算では、女性の生理に伴う経済損失は年間で約6000億円で、更年期やがん、不妊治療を合わせると計3.4兆円に達します。

 社員の健康を経営資源と捉える健康経営や、体調不良で出勤して生産性が下がるプレゼンティーズムへの意識が広がってきています。休むか働くかの二択ではなく、在宅勤務など多様な制度を組み合わせて個人差に対応する職場づくりが必要です。

(2026年10月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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