住宅取得能力指数が1より大きければ、住宅ローンを組むことで家が購入できる一方、指数が1より小さければ購入困難としています。マンションにおける住宅取得能力指数を見ると、2022年1月時点では全国上位40%層(世帯年収900万円程度)まで、つまり所得の多さで2番目の階層までで指数が1を超えていましたが、2025年11月時点では1を超えたのが上位20%層(世帯年収1300万円程度)のみになっています。所得の最も多い層でないと、マンションの購入は難しくなっています。
日本ばかりでなく、世界的にも住宅は高騰しています。OECDのデータによれば、2025年には住宅の実質価格が平均で2015年と比べて3割以上高くなっています。中間層の定義は様々ですが、家計調査で所得を5つに分けたうちの、真ん中の3階層(年収600万~900万円程度)と考えると、都市に暮らす中間層が手頃な価格で住宅を手に入れるのは困難な状況です。
近年改めて注目されているのがアフォーダビリティーという考え方です。1980年代に米国で使われ始めた言葉で、光熱費を含む住居費が所得の30%以下である住宅がアフォーダブルだとされています。2043年には空き家は最大で約1900万戸にのぼり、4戸に1戸が空き家になると推定されています。中古住宅の再生ビジネスは急成長しています。空き家となる中古住宅を活用する企業の裾野を広げられるのかどうかが、中間層のアフォーダビリティー確保に向けた日本の課題となります。

(2026年8月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





