がんと妊孕性―Ⅵ

医学的適応に関するガイドライン

このように悪性腫瘍などに罹患した女性に対し、治療を行ったことにより、妊孕性が失われると予想される場合、妊孕性を温存する方法として、女性本人の意思に基づき、未受精卵子や卵巣組織を採取し、凍結保存することが実地臨床で行われるようになってきています。日本産科婦人科学会は、これら医学的適応による未受精卵子および卵巣組織の採取・凍結・保存に関する見解を、平成26年に出しています。しかしながら、本法の実施が、原疾患の予後に及ぼす影響や、保存された卵子により、将来クライエントが妊娠する可能性、妊娠した場合の安全性など、未だ明らかでないことが多いため、被実施者に十分な情報提供を行い、クライエント自身が自己決定することが大切であるとしています。もちろん、原疾患の治療の実施に、著しい不利益が生じないことが前提となります。現時点では、凍結された未受精卵子の譲渡や売買は認められておらず、自分自身にしか使用できないことになっています。

(吉村 やすのり)

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