がん免疫療法の研究開発

 がん細胞は正常な細胞との共通点が多いため、がん細胞への免疫の反応は元来強くありません。がん細胞に対する免疫の反応を高めて治療するのが、がん免疫療法です。複雑な免疫システムのどの部分をどう強めるかによって様々な種類があります。

遺伝子改変T細胞輸注療法は、患者の体からT細胞を取り出し、がん細胞を標的とするように遺伝子を作りかえ、大量に増やして戻す方法です。これによって、抗がん剤の効かない白血病が治ったとの報告があります。未熟なT細胞に標的の特徴を伝える樹状細胞を利用する樹状細胞を療法もあります。樹状細胞の元になる細胞を患者から取り出し、がんの部品を与えて敵として覚え込ませてから戻す方法です。がん細胞が特徴的に持つたんぱく質の一部を体に入れて免疫を刺激する、がんペプチドワクチンなども研究されています。
免疫に関わる細胞は、薬と異なり、体の隅々に入っていくことができます。そのため、がん免疫療法は、手術で取り切れなかったがん細胞も死滅させ、進行がんも治る可能性があると期待されています。

(2015年4月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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