くる病の増加

 くる病とは、ビタミンDの欠乏や代謝の異常により生ずる骨の石灰化障害です。典型的な病態は乳幼児の骨格異常で、骨端部成長板軟骨の骨化の障害です。成人では骨軟化症を引き起こし、骨粗鬆症の原因にもなります。近年、足の骨が変形し、歩行しづらくなることもあるビタミンDの欠乏性くる病が、乳幼児の間で増えてきています。国内では栄養が不足していた時代に多くみられましたが、食糧事情の改善により過去の病気とされてきました。しかし、ここにきて増えた背景には、過度の紫外線対策とビタミンDが不足していることが原因と考えられています。
 くる病は、成長期にカルシウムを骨に沈着させる働きを持つビタミンDが不足し、骨が軟らかくなって変形や成長障害を起こします。遺伝性の場合もありますが、ビタミンDが不足しているケ-スが大半を占めています。歩き始める1歳ごろに発覚し、足に負担がかかってO脚などになりやすくなります。血中のカルシウム濃度が下がり、けいれんを起こすこともあります。背景として、日光浴の不足やアレルギ-による食事制限などが挙げられます。適度な日光浴やバランスのとれた食事などに心がけるべきです。厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準」(2015年版)では、ビタミンD1日当たりの摂取量の目安は、生後011カ月の乳児は5マイクログラム、18歳以上は5.5マイクログラムです。特に妊婦や乳幼児は、ビタミンDをしっかり接種し、適度な日光浴が必要です。

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