カプセル内視鏡

 超小型のカプセル内視鏡を採用する医療機関が増えてきています。口からのみ込むと消化管内を移動しながら写真を撮影する仕組みで、ミリ単位の病変まで高精細に観察できるようになりました。受検者は、下剤で腸管内を十分に洗浄し、検査当日は腹部にセンサ-を取り付け、カプセルを水で飲みこみます。小腸用は直径1ミリ、長さ26ミリで、小型カメラやバッテリ-などが内臓されています。カプセルは小腸の蠕動運動で移動しながら、1秒間に2枚、あるいは6枚を撮影します。カプセルは使い捨てで、平均56時間で体外へ排泄されます。小腸は口や肛門から遠い位置にあり、通常の内視鏡検査が難しく、カプセル内視鏡の開発は小腸から始まりました。
 大腸検査用も普及しつつあります。カメラの視野角が180度近くに広がり、体内を動く速度に合わせ撮影頻度も自動調節できるようになり、約5割だった6ミリのポリ-プの発見率は、9割まで向上したとされます。大腸用は癒着などが原因で通常の内視鏡検査ができない場合に保険適用が限られ、それ以上は実費診療になります。しかし組織の切除ができず、生検や治療には使えないのが欠点です。

(2015年11月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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