ゲノム創薬とは

 ゲノム創薬とは、体の設計図に相当するヒトの遺伝情報の解読し、結果を活用して医薬品を開発する手法のことをいいます。従来は、大量の化学物質の中から効果がありそうな物質をふるいにかけて薬剤を見つけ出していました。現在では、遺伝情報を利用することにより、新薬候補を効率よく見つけ出せるようになってきています。病気の仕組みを遺伝子やたんぱく質レベルで解明した上で候補を探すため、がんなどの難病の治療効果は大きくなると期待されています。抗がん剤ではがん細胞だけを選んで攻撃するため、副作用も小さくなります。
 数多くのがん患者からゲノム情報を集め、遺伝子の種類でがんを分類し、そのがんに特有な遺伝子を標的にして新薬を開発します。そして、その薬の治験をする場合に、その遺伝子を持つ患者に投与しようとする試みです。がん治療は手術による切除や放射線療法などがありますが、転移が進むと抗がん剤を使うことが多くなります。ゲノム創薬では、こうした遺伝子の働きを抑えることにより、鋭い効果を発揮する新薬をつくることを目的としています。

(2015年8月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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