パパの産後うつ

 産後うつとは、出産した女性が約半年以内に発症するとされるうつ病の一種です。女性ホルモン分泌の急激な変動や環境の変化などが影響していると考えられています。育児に過度な心配をしたり、気持ちが落ち込んだりし、育児放棄につながるケースもあります。厚生労働省の調査では出産した女性の約1割が発症するとされています。
 この女性の産後うつが問題視される中、父親も育児と仕事の重圧などから同様にうつ傾向になる実態が明らかになってきています。国立成育医療研究センターなどの調査では、子どもが生まれた男性の2割近くが経験しているとされています。うつ傾向がみられない男性と比べ、虐待と受け取られかねない行為をするリスクが高いとされています。仕事と育児を両立しようとして、肉体的にも精神的にも許容範囲を超えてしまうことなどが背景にあると考えられます。出産は父親にとっても人生における大きなイベントです。父親も体調を崩すことがあることを周囲も理解することが大切です。

(2016年3月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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