ヒトクローン胚によるES細胞樹立報道について

体細胞の核を除核したヒト未受精卵に移植してできるヒトクローン胚は、これまでの研究ではほとんどの胚が8細胞期で発育を停止してしまい、ES細胞を樹立することは困難であった。ヒトにおいては、これまで3倍体ゲノムを持つ、体細胞核移植胚からのES細胞は樹立されていたが、これら3倍体のES細胞では、ヒトへの臨床応用は不可能である。

今回の報道では、8細胞期で杯の発育が止まるのを乗り越えたところが新しい発見である。樹立されたES細胞は、患者本人と同じ遺伝情報を持つため拒絶反応の心配がなく、広く再生医療への利用が期待される。しかしながら、このES細胞の特性の詳細な解説が必要であり、医療応用への可能性は未知数である。

 

《朝日新聞2013/5/16》

(吉村やすのり)

 

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