子どもの医療費の助成対象を広げる市区町村が急増しています。厚生労働省の昨年の1742市区町村への調査では、通院で中学卒業またはそれ以上まで助成する自治体は1134市区町村で、65％にまで上がっています。2004年は11自治体しかなく、10年で実に103倍に増えたことになります。少子化への危機感や地域間競争が背景にあるとみられます。
子どもの医療費は、小学校就学前まで公的な医療保険で8割を賄い、2割は自己負担することになっています。小学生からは、大人と同様に自己負担は3割になります。この自己負担分を何歳まで助成するかは都道府県や市区町村で異なります。東京都では、中学卒業まで医療費の無料化が実施されています。この動きは全国に及び、多くの地方で無料化が始められています。しかし、財源が議論にされずに、サ－ビスの拡大だけが進み、高所得者の人も困窮する人も同様の恩恵を受けていることは、問題ではないのでしょうか。また地域間格差の是正も大切になります。
（2015年4月17日 朝日新聞）
（吉村 やすのり）
