児童虐待

 法医学とは、事件や事故の遺体を調べ、死因のほか、傷やあざができた理由や時期を明らかにする学問です。この法医学を児童虐待の見逃し防止などに生かす臨床法医学が注目されています。虐待の有無の判断が難しいケ-スに関し、児童相談所が医師から意見を聞くといった国の制度が広がらない中、大学内に専門の組織を置く動きが出てきています。20144月に臨床法医学部門が、千葉大医学部内に新設されました。児相の依頼を受けているかどうかの判断が難しい子どもの診察記録をもとに、セカンドオピニオンを提供するものです。
 日本法医学会によると、大学内に臨床法医学を専門とした研究・教育部門ができたのは全国で初めてです。現在、法医学を志す医師は激減しています。今後は、児童虐待だけでなく、ドメスティックバイオレンス(DV)やレイプの防止に関心がある医師を、なり手が少ないの法医学の分野に呼び込むきっかけになるかもしれません。

(2015年11月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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