医学部の定員削減

 政府は、2020年度から医学部の定員を減らす検討に入りました。1973年前都道府県に医学部を置く11医大構想を閣議決定し、医学部の数も急増しました。1980年には医師余りと医療費拡張への懸念が強まり、定員は1984年度の8280人をピ-クに減少しました。しかし妊婦のたらい回しが社会問題となり、医療崩壊との批判を受けて2008年度に再び増員に転換し、2015年度は9134人と最高になっています。2019年度まで増員を続ける方針を決めています。
 医師の総数は2012年時点で30.3万人と、10年前に比べ4.1万人増えています。医師として専門を持つには医学部6年と研修医2年の計8年かかります。2027年度までは定員が増えた医学部生が現場に出るため、医師数の増加ペ-スに拍車がかかりそうです。しかし政府は2025年までに全国の病院ベットを最大20万床減らして安易な入院を抑える方針で、全体としては医師の過剰感が強まる見通しです。ただ地方では医師不足に悩む医療機関が多いため医学部定員の総数を削減しながらも、地域枠を広げることを検討しています。現在医学部の新設が検討されていますが、医師の数の現状を考慮すると必要ないように思われます。医学部や医師数を増やすよりも、医師の地域格差を是正すべきです。

(2015年9月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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