医師以外の医療従事者の意義

 日本の病院は、医師をトップとするピラビッド構造で、様々な意思決定は医師が主導してきました。しかしながら、治療方針や診療体制は医師が決めるという病院の常識が、最近変わりつつあります。コメディカルと呼ばれる医師以外のスタッフは、医師に従属的な立場にありましたが、コメディカルに任せた方が良い医療分野が増えてきています。コメディカルがもっと表舞台に出れば、医師が診察に費やす時間も増えます。医師の数を増やさずとも、医療の質を高める方法はまだまだあります。
 2013年の厚労働省の調査によれば、日本の病院などで働く医師従事者のうち、医師・歯科医師の割合はわずか11%です。残る89%のスタッフの力をもっと引き出せれば、医療はより効率化し、質も高まることが期待されます。看護師や薬剤師、管理栄養士、理学療法士が代表的ですが、医療クラ-クや診療情報管理士などの事務職員も含まれます。医療技術の発展により、医療提供者側に高い専門性が求められるようになる一方で、患者の望む医療は多様化しています。質の高い医療を提供するには、医学、薬学、看護学、栄養学など各分野で、専門性を持つスタッフが連携するチ-ム医療は欠かせません。

(2015年4月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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