医療事故調査制度―Ⅳ

 医療事故調査では、カルテや看護記録のチェック、担当医や遺族からの聞き取りのほか、解剖が死因究明のカギを握っています。解剖では、専門の臨床医も立ち会って、死亡原因は医療行為によるのか、持病や合併症によるのかを詳しく調べます。解剖でわかったことと、担当医らへのヒアリングで確認したいきさつを照らしあわせれば、診察行為との関係を明らかにすることができます。
 国の医療事故調査のモデル事業では、2010年~2012年度に解剖を実施した73例中88%において、死因が判明もしくは確認できたとされています。医療事故の解剖は、どのような医療行為がされたのかなどの死因を調べるため、通常の病理解剖とは視点が異なります。正確な評価には解剖医と臨床医いずれもかなりの経験が必要となります。 

(2015年10月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。