医療被曝線量の減少

 日本の人口当たりのCT装置数は世界一であり、検査での被曝が問題となっています。放射医学の関連学会や団体により、X線などを使った医学検査で、患者の被曝をどのくらいに抑えるかが望ましいかの目安となる診断参考レベルが示されました。診断参考レベルは、検査の放射線量が必要以上に高くなっている医療施設に注意喚起し、過剰な被曝を減らす有効な手段として、国際放射線防護委員会が1996年に導入を勧告していました。医学検査による被曝の4割を占める線量は、国内の施設間で10倍以上の差があり、過剰な線量の施設が少なくないとみられていました。
 今回の参考レベルは、CT、一般撮影、乳がんを調べるマンモグラフティ-などの検査が対象となります。各検査の実態調査をもとに、標準的な体格の患者を想定して数値が決められています。今後参考レベルを超える施設は、診断に支障のない範囲で下げられないかどうか検討を求められることになります。全身への営業の目安となる実効線量が累積100ミリシ-ベルトを超えると、線量の増加に伴ってがんのリスクが高まるといわれています。

(2015年6月8日 讀賣新聞)
(吉村 やすのり)

 

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