医療費の削減

 自民党は、財政再建に関する特命委員会で、社会保険費の抑制策を本格的に検討し始めています。社会保障費の中でも医療費は、患者の自己負担を除き、12年度の35兆円から25年度に1.5倍の54兆円にまで膨らむ見通しです。そのため、高所得者の75歳以上の医療費窓口負担の引き上げや、高所得の高齢者の年金減額などが検討されることになっています。
 柱の一つが受診時の定額負担制です。外来患者は現在、窓口で13割の自己負担額を支払っているが、これとは別に窓口で毎回、一定額を支払ってもらうことになります。これにより、患者の追加負担により国や地方の財政負担を減らす効果が見込め、仮に1100円とした場合、国と地方で年1300億円ほど負担が減るとの試算ができます。この制度は医療費膨張に歯止めをかける切り札との見方もあります。患者の過剰な受診を抑える効果が指摘される一方、医療機関には患者の減少が収入減につながる懸念があり、日本医師会などに慎重論が根強いのも事実です。

(2015年6月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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