医療費の改正案の提示

   厚生労働省の懇談会は、2035年を見すえた中長期の医療政策の提言をまとめました。都道府県ごとに医療費の総額を管理し、想定を上回った地域は保健医療の公定価格である診療報酬を減額する案を提起しています。都道府県ごとにベット数などサ-ビス量の目標を設定させ、供給量が上回った場合に報酬を下げる案も示しています。いずれも医療機関が受け取る報酬を調整することにより、医療費の総額を管理する考えです。
 医療費の抑制に適切に取り組まない都道府県では、医療費の地方負担が増えることになります。1人あたりの医療費は、最も高い高知県が625000円で、最も低い千葉県の1.6倍もあります。現在は医療費のうち国が26%、地方が13%を負担しており、残りが保険料と患者負担です。県民の年齢構成など構成要因以外で医療費が膨らんでいる部分は、地方の努力不足とみなして、国の負担増分を地方自治体が負担しなければなりません。また、年齢と所得で決まっている自己負担や保険料も見直し、豊かな高齢者に応分の負担を求める考え方です。基本的には評価できる改正と思われます。

(2015年6月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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