合計特殊出生率

 合計特殊出生率とは、その年の出産動向が将来も続いた場合に、1人の女性が生涯に産む子どもの平均的な人数をいいます。15歳から49歳までの女性を出産期と想定して、年齢ごとの出生率を算出し、それを合算して求めます。日本の人口を維持するためには、2.07の出生率が必要になります。日本の出生率は、1975年に2.0を下回ってから低下傾向が続き、2005年には過去最低の1.26まで落ち込みました。その後は団塊ジュニア世代の駆け込み出産などで2013年まで1.43と緩やかに回復していました。だが2014年の出生率は1.42となり、9年ぶりに減少に転じました。政府の試算では1.35程度の出生率が続くと、日本の人口は100年後に5千万人を割り込むとされています。
 安倍首相は、出生率1.8を目標に掲げています。この数字は若年の男女カップルが希望する子どもの数です。その希望か叶えられないのは、仕事と育児が両立できない、経済的な不安で2人目、3人目が産めないなどの理由が挙げられます。2008年には、出産育児一時金が38万円より42万円に増額され、妊婦健診は14回まで公的助成されるようになりました。こうした妊娠・分娩時の経済的負担の軽減により、2005年に1.26と最低であった合計特殊出生率は微増し、2013年には1.43まで回復したともいえます。この事実は、妊娠・分娩時の経済的問題を含めた不安要因の解消により、出生率の低下をある程度阻止できることの証左たりうると思われます。

(吉村 やすのり)

 

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