合計特殊出生率の増加

2013年の1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値である合計特殊出生率は、1.43に増加した。しかし、生まれた子どもの数は103万人を切り、戦後最低となった。2005年に出生率は1.26であったが、それ以降微増している。近年生殖年齢にある女性の数が減少しているため、出生率がわずかに増加しても、生まれる子供の数は減少し続ける。このままでゆけば2055年には一年間に生まれる子ども数は50万人を切ることになる。人口が減少しないための人口置換水準である2.07に回復するまでの道のりは、途方もなく長い。

この8年間の出生率の増加には、妊娠や分娩時の経済的問題を含めた不安要因の解消が関与していると思われる。出産育児一時金が38万円より42万円に増額したこと、これにより地方では、分娩時に病院に支払いをする必要がなくなった。また、妊婦健診の公的助成の増額などが実施され、妊娠中や分娩中の若い男女にとっての経済的負担が減ったことが大いに影響している。このために年間1200億円の支援が増額されている。この出生率のわずかな上昇に、少子化対策の糸口が見つかるかもしれない。

(吉村 やすのり)

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