国家による研究補助金のあり方

厚生労働省、経済産業省、文部科学省は、2007~2012年度にアルツハイマー病研究の国家事業「J-ADNI」に計24億円もの大金を投入している。同事業の最高顧問として研究を指導する研究者が、同事業に補助金を出すかどうかを審査する評価委員会のメンバーの1人であったことが、朝日新聞の調べで判明した。研究を受け取る立場にある人が審査をするべきではないことは、研究プロジェクトにおける審査においては大原則である。

科学研究においては補助金を決定する際の厚生労働省の指針では、「利害関係者が評価者に加わらないようにする」「自ら所属する部署の人の研究は評価できない」と記載されている。これまでJ-ANDI研究プロジェクトにおいては、データ改ざん疑惑が発覚したり、被検者の同意を得ない倫理指針違反などが多くの問題点が指摘されている。わが国においてはまだ利益相互への意識が低い。こうした評価方法では国際的信用が得られず、期待度の高い国家的プロジェクトも全く意味のないものになってしまう。

 

(2014年8月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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