夫婦別姓について―Ⅰ

 現在わが国では、民法において結婚すると夫婦は同じ聖を名乗らなければならないと規定されています。この規定が、憲法が定める男女平等や、人格権を侵すものかどうか、結婚や家族のあり方に関わる大きな問題について、最高裁が近く初めて判断を下すことになっています。厚生労働省の調べによれば、結婚して夫の姓を選ぶ人の割合は、昨年96.1%に及んでいます。この数字は約40年前の1975年と比べても2.7ポイント下がっただけで、ほとんど変化がみられません。夫婦別姓の反対派は、別姓を導入すれば家族の一体感が損なわれる、家を受け継ぐのは日本の伝統文化だなどと主張しています。
 一方、女性差別撤廃条件は、姓を選択する権利を確保するよう求めており、日本は国連から何度も改善するよう勧告を受けてきています。どちらかの姓を選ぶと言っても、96%が夫の姓というのは事実上の女性差別であるとする意見もあります。世論調査でも、夫婦別姓に賛成、反対は拮抗しています。

(2015年11月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

 

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