女性の健康の包括的支援に関する法律案

 21日の衆議院解散では廃案となった法案の1つに「女性の健康の包括的支援に関する法律案」があります。いまだ十分でない女性の医療体制を整備し、研究や情報提供の充実を図る内容で、医療関係者らの注目を集めていましたが、一度も審議されなかったことは大変残念でした。法案は、女性の健康を生涯にわたって包括的に支援することの重要性を明記する理念法として作られています。「女性の活躍」を掲げる安倍政権の下、昨年10月に発足した自民党のプロジェクトチーム(PT)が医師や有識者に聞き取りをした提言がまとめられています。

 こうした法律案ができると、必ず批判が持ち上がります。出産に関する政策を明記しながら、産まない選択には何の言及もないといった指摘です。また性暴力や配偶者暴力被害への対策が、法案では抜けているとの指摘もあります。産む、産まないはあくまで個人の選択です。しかし諸外国と異なりわが国においては、子どもを産む、産まないに拘らず、女性の包括的支援がこれまで十分に実施されていなかった状況にあります。こうした法律を通して欠けた視点ばかりを強調するのではなく、女性の健康問題に対する理解が社会全体に深まることが大切です。

日本産科婦人科学会は、1221日に「女性が輝く社会の実現に向けて ―健康増進を支援する―シンポジウム」を開催致します。

(吉村 やすのり)

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