妊娠していない成人女性の内診、推奨せず―米国内科医学会

産婦人科の診察で日常的に行われる内診について、米国内科医学会(ACP)は新たなガイドラインを発表した。問題となる症状がなく、妊娠していない成人女性に対する検診目的の内診は実施すべきではない、とする推奨を行った。推奨度は「強」、エビデンスの質は「中」である。

ACP臨床ガイドライン作成委員会のメンバーは、推奨しない理由として検診目的の内診による不利益は利益を上回ること、内診による検診が疾病の発見や死亡率の減少につながらないことを挙げた。さらに内診で見つかるがんは、CA-125 測定と経腟超音波でも全て検出できるという。

内診単独では疾病や死亡の発生率が低下しないため推奨しないという結論である。これまで無症状の骨盤内炎症、良性疾患、子宮頸がんや卵巣がん以外の婦人科がんなど他の疾患に関しても、内診の有用性を評価した研究はみられなかったとしている。一方、内診が与える不利益として、不安感・恐怖感・羞恥心、痛み、不快感、さらにこれらが婦人科診察を敬遠させる要因になる可能性を挙げている。また、内診による偽陽性になった場合、精査目的での腹腔鏡検査など不要な侵襲的処置につながることも指摘している。

(吉村 やすのり)

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